この神城高校(以下神城)は今年から共学になったそうだ。
当然の事だが野球部はない。同じ中学の生徒が来ない高校を選ぶあまりに野球部のない高校を選んでしまった。
仕方がないので帰宅部になるか。そう思った矢先あるポスターが目に入った。
それは「野球部に入って一緒に汗を流そう!!」というものだった。
なんと、この学校に野球部ができていたのだ。
だが、入っても人数が少ないはず。悩んでいたところに聞き覚えのある声が聞こえた。
*「あれ?尚、何見てんの?」
そこには白木由利が立っていた。
*「あれ?このポスターって・・・もしかして入るの?」
結城「いや、見て・・・」
しかし言い切る前に襟を掴まれ自由を奪われてしまった。
由利「ていうかそんだけ実力があるんだからあのポスター見てたんだもんね」
結城「いや、だから・・・」
その先を言おうとしたが酷い殺気を感じ、結城は言葉を失った。
由利に見つかったのが運の尽き、諦めるしかない。結城はそう思った。
グラウンドに着いた。
そこには何人かのユニフォーム姿があった。
由利「ねぇ!あなた達、野球部の人よね!私達も入部したいんだけど・・・」
篠原「おい!西条!入部者がきたぞ!」
西条「何!?本当か、篠原…ん?」
篠原「どうし・・・!」
二人は驚いた。何故ならそこに、真っ青な顔をしている結城の姿があったからである。
篠・西「(死、死んでいるのか〜!入部する前に〜!?)」
結城「由、由利、はやく、襟を・・・はな・・・せ」
西・篠「(生きてた!)」
由利「え?ああ、ごめん。つい、うっかりしっちゃって」
結城「ゲホ!うっかりで、殺すな・・・」
由利「まぁ、それは置いといて、ここのキャプテンは?」
西条「(置いとくのか)あそこでバット振ってる奴がそうだよ」
由利「わかった!ありがとう!」
そういうとそいつに向かって走っていた。
待っていても仕方がないので結城もそいつにところへ行くことにした。
キャプテンをやるぐらいなので実力はあるんだろうと思った。だが現実はそう甘くはなかった。
見た目で言うのもなんだがこんなのがキャプテンで大丈夫なんだ
ろうか?そう思うとため息が出てしまった。
まだ、4月の少し冷たい風が吹いた。
それは、結城を慰めているようにも思えた。