第5章
あのプレー



あおい「あのプレーって何よ?」

結城「・・・立官冬中学って知ってる?」

あおい「立中?知ってるよ。あそこと練習試合したことあるし。」

結城「その時、ピッチャーが敬遠してこなかった?」

あおい「敬遠?そういや、してきた記憶があるけど・・・」

結城「その時の敬遠球打たなかった?」

あおい「打った気がする・・・ていうか何でそんなに知ってんの?やっぱりストーカー・・・」

人をストーカー扱いするのはやめてほしいがここはあえて無視することにした。

結城「その敬遠球打たれた投手だけど・・・」

結城がそう言った途端にあおいの顔が変わった。どうやら思い出した様だ。まさか、ここで会うとは思わなかったのだろう。

あおい「・・・敬遠球打った事怒ってる?」

結城「別に。ただ敬遠球を打つと思わなかったから。・・・それに他にもやったし。」

あおい「他にも?」

悪球打ちした事、ライト前に落ちた球をライトゴロにした事、キャッチャーとのクロスプレーのとき、キャッチャーを弾き飛ばした事etc・・・

あおい「・・・こんなにしたっけ?」

結城「した。」

あおい「・・・」

結城「そこでさ・・・」

あおい「・・・え?あ、何?」

結城「野球部に入らない?」

あおい「!?

普通の人ならいきなり勧誘されて驚くかもしれないが、たぶんこの驚きは・・・

あおい「野球部って・・・この学校にあったの?」

予想通りの驚き方だった。まぁ、元々女子高だったので仕方がないが・・・

結城「・・・ある。あるけど・・・」

あおい「けど?」

結城「俺合わせて五人しかいない。」

あおい「・・・少ないね。」

結城「・・・まぁな。」

あおい「まぁ・・・いいかな?」

結城「・・・入ってくれるんだ。ありがとう。」

あおい「え!?いや、別にそんな!御礼言われるほどでもな、ないよ!」

あおいは顔を真っ赤にしてそう言った。

軽く御礼を言っただけなのにどうしてこんなに慌てるんだろうと結城は思った。

あおい「と、とにかく今日から野球部に入るからね!わかった!?」

結城「大きい声ださなくてもわかったから。」

(キーンコーンカーンコーン♪)

チャイムがなった。相変わらず拍子ぬけた音だ。

一緒にここへ来る約束をして、結城は帰って行った。

あおいは何故か顔を赤くしながら帰って行った。

そして・・・放課後

結城「え〜と・・・あおいちゃんは・・・いた。」

見たことある後ろ姿で髪を括っている。間違いなくあおいちゃんだ、と結城は思い、話かけてみた。

だが・・・

*「え?そんな約束してませんけど・・・」

結城「え?




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