六月五日
今日、ここ青柳工業高校で練習試合があった。そこには高橋達の姿があった。
西条「今日は一段と凄かったな!」
篠原「おう!一段とな!」
高橋「・・・ある意味ね」
スコアボードには2以上の数字が続いていた。・・・敵チームだが・・・
そんな中で青い顔してベンチに座っている二人がいた。結城とあおいだ。
結城「・・・」
あおい「・・・」
まるで自殺する場所を探してその辺をさ迷っている中年のオッサンみたいなテンションだった。そこへ男性教員が話し掛けた。
名前は大原という。
大原「おい。ボーと座ってないで帰るぞ。」
あおい「・・・え?あ、はい。」
結城「・・・うぃ。」
この教師は結城の担任であるが、入学式が終わってそんなに日がたたないうちに入院してしまったのだ(盲腸)
だから高橋以外は野球部に顧問が存在していた事を知らなかったのだ。結城は自分の担任ということすら忘れていたのだ。
結城「・・・はぁ。」
12時17分、神城に着いた。
大原「今日は!大敗したけど・・・まぁあんまりクヨクヨすんよ。じゃあ解散!」
今日も!の間違いだろと結城は思う。
西条「ゲーセン寄っていくか?」
篠原「おお!行こうぜ!」
そんな会話が飛び交っている中・・・
由利「じゃあ帰ろうか、尚。」
結城「悪い。さっき担任に呼び出し食らってんだ。だから先に帰っていてくれ。」
由利「サボってばっかいるからよ。じゃ、あいちゃん帰ろうか。」
あい「はい。じゃあ先に帰るからね、あおい。」
あおい「う、うん。」
由利「あおいちゃんも?」
あい「呼び出し食らってるんですって。」
由利「ふ〜ん」
結城「・・・」
あおい「・・・」
そして・・・
結城「さっきの嘘だろ。」
あおい「・・・君もでしょ。」
実はこの二人、呼び出しなど食らってなどいないのである。
結城「ふぅ。」
あおい「はぁ〜」
高橋「何してるの?」
結城・あおい「!?」
二人は驚いた。篠原達と一緒に帰ったと思われた高橋が何故かいたのだ。
あおい「帰ったんじゃなかったの?」
高橋「今日、ノーヒットだったから少し残って練習しようと思って。」
結城「・・・」
こいつなりに自分の打撃を気にしてはいたようだ。あまりにも非力すぎる自分のバッティングを・・・
高橋「いきなりだけど一緒に練習しないかな?」
少し困ったような顔をして二人をじっと見ている。
あおい「いいよ、別に。」
結城「ま、いいかな。」
高橋「いいの!?わ〜い。」
高橋は無邪気に喜んでいた。
結城「(自分の・・・弱点・・・か)」
どうにか7月までには間に合わせたいと思う結城だった。