あい「あれ、高橋さん?まだ帰らないんですか?」
高橋「も、もうちょっと・・・」
六月二十日、あれから約ニ週間がたった。理奈の言ったことを信じてキャプテン高橋は今日も練習に励んでいた・・・かのように見えた。
あい「あ、早く帰らなきゃ。今日、ダイエーの試合があるんだった。確か、相手はロッテだったかな?」
あいは何気なく後ろを向いた。そこにはさっきまでいた高橋がおらずバットとボールが転がっているだけだった。
あい「ロッテ・・・ファン?」
午後7時30分、高橋家
一人TVに張り付いて離れようとしない高橋の姿があった。母親から風呂に入れという言葉も高橋の耳には届かなかった。
(カキーン!ワアアアア!)
*「右中間破ったー!2塁ランナーホームイン!福浦のタイムリー2ベースでマリーンズ、勝ち越し!4-3!」
高橋「すごいな〜、福浦選手。僕もあんな風になれたらな〜」
高橋はマリーンズが勝ち越した事より福浦に感動したようだ。
高橋「それに、あの・・・そうだ!」
高橋は何か思いついたようだ。そしてバット持ち大きな鏡の前で何かの練習を始めた。フォームチェックしてるようにも見えるが・・・
そして、高橋は理奈のキーワードを思い出した。キーワードは・・・「自信」
一方、一条家では・・・
あおい「どうだった?」
あい「・・・全然」
あおいは変化球の練習をしていた。理奈が変化球を覚える事によって制球力がつくかもしれないと助言してくれたからである。
あいは持っていた紙に×印をつけた。それには変化球の握り方が書いてあった。
あい「これで三つ目ね・・・」
あおい「はぁ〜」
あい「頑張って。あおい」
あおい「だってカーブもだめだったんだよ。頑張れっていうほうが無理だよ。」
あおいはますますやる気が無くなってしまった。あいは、妹の苦しむ姿を見たくなかった。
あい「絶対大丈夫よ!あんたは私の妹よ!できない事なんてない!」
あおい「お姉ちゃん・・・(グス)」
あおいは姉の言葉に感動したのか思わず涙がでてしまった。
あい「だから・・・頑張ろうよ。ね?」
あおいは流した涙を肩にかけてあったタオルで拭き、そして高見盛みたいに自分の頬をおもいっきり叩いて気合を入れた。
(パーン!!)
あおいの頬は見事なまでに赤く腫れていた。
あおい「(ちょっと痛かったり・・・)お姉ちゃん、次は!?」
あい「(痛そうね)その意気よ!結城さんや高橋さんだって頑張ってるんだから!」
あおいのキーワード。「くじけぬ心」
最後に結城の様子は?
結城「・・・ハァ」
理奈「・・・ハァ」
二人はほぼ同時にため息をついた。何故なら・・・